伝統ミサの定義と教会法上の位置づけ

 ミサとはカトリックの最も重要な礼拝祭儀で、カトリック教会が公的に行う祈り(典礼)です。ミサはカトリック教会の司祭がミサ典礼書という儀式書に従って行われます。カトリック教会には古い歴史を持つ地方独自の典礼が複数存在しますが、日本を含む圧倒的多数の地域ではローマ典礼が使用されています。

 「伝統ミサ」とは、トリエント公会議後に、教皇ピオ5世(1572年没)が公布し、1962年に教皇ヨハネ23世(1963年没)が再公布したミサ典礼書に従ったローマ典礼のミサを指します。

 1962年の典礼書は、5~6世紀の時代のローマ典礼の典礼書にまで遡ることができます。断絶することなく、成長・発展しつつ、先の世代から大切なものとして、次の世代へ引き継がれてきた典礼書を使用したミサということから、「伝統ミサ」と私たちは尊敬を込めて呼んでいます。

 教皇ベネディクト16世は2007年に自発教令を出し、第二バチカン公会議後に教皇パウロ6世が制定したミサ典礼書を使用したミサを「ローマ典礼の通常形式」であると確認すると同時に、1962年のミサ典礼書を使用したミサを「ローマ典礼の特別形式」であると教会法上位置付けました。加えて、1962年のミサ典礼書は廃止されたことはなく、ローマ典礼に属する司祭は自由にこのミサ典礼書を使用したミサ(伝統ミサ)を捧げることができるとしました。Una Voce Japanもこの流れの中で活動を始め、2019年3月まで約8年にわたって、東京の若葉修道院の聖堂で伝統ミサをほぼ毎日曜日捧げていました。

 教皇フランシスコは2021年に自発教令を出し、この教会法上の位置づけを再び変更しました。1962年のミサ典礼書を使用したミサは、信者の霊魂の善益のために、地元司教の許可のもと行うことができるとされました。現在のカトリック教会の公式文書では、伝統ミサは「典礼改革前のミサ」とか「1962年のミサ典礼書によるミサ」と呼ばれています。

参考

教皇ベネディクト16世の自発教令「スンモールム・ポンティフィクム」(2007年)(日本語)

教皇庁エクレジア・デイ委員会の訓令「ウニベルセ・エクレジエ」(2011年)(日本語公式訳がないため、英語公式訳)