七旬節の主日
伝統的な典礼暦(カトリック教会の暦)では、四旬節(Quadragesima ラテン語の40から派生)の始め、灰の水曜日の17日前から四旬節の準備期間になります。17日前にあたる日曜日を七旬節(Septuagesima ラテン語の70から派生)と呼び、2023年は2/5が七旬節にあたります。ちなみに七旬節の翌週の日曜日を六旬節(Sexagesima ラテン語の60から派生)、翌々週の日曜日を五旬節(Quinquagesima ラテン語の50から派生)と言います。
四旬節に守る断食の規定は適用されないものの、この準備期間の特徴として典礼では悔い改めを示します。例えば、祭服などに使用される典礼色は紫色が用いられるほか、喜びを示すグロリア(ラテン語で栄えの意味)やアレルヤ(「神をたたえよ」という意味のヘブライ語の音訳)をミサで唱えません。
現在の典礼暦では七旬節、六旬節、五旬節は廃止されてしまいました。廃止の合法性に口を挟むつもりはありません。しかし、私はこの準備の期間があった方が適切と思う三つの理由があります。皆さんはどう思われるでしょうか?
1 1,400年続く伝統だから
四旬節のための準備の期間を設けるようになったのは、大教皇グレゴリウス1世(604年没)に遡ります。日本でいえば聖徳太子が生きていた時代から連綿と受け継がれた伝統であり、神を賛美することに反する習慣でない以上、大切に守るべきと思います。
2 エキュメニカルな習慣だから
正教会も「大斎準備期間」という名で大斎(カトリックでいう四旬節)前の準備期間を設けています。もともと四旬節の準備期間という習慣は正教会からローマの典礼にもたらされました。エキュメニカルな観点からも準備の期間を大切にすることは意味があります。
3 実際的な利点があるから
四旬節の断食は、人間の無力さを痛感し、復活節の喜びを祝うために必要な手段であるものの、急に行うと体調を崩しかねません。準備の期間に、ミサから喜びを示す要素が外されるのを先取りすることで、心と体を四旬節に向けて整えていくことができる実際的な利点があると思います。